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Part 5 全身の健康管理 [印刷用 タイトルあり] [タイトルなし]

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書籍名 アルツハイマーガイドブック
見出し Part 5 全身の健康管理

内容

  1. Part 5 全身の健康管理
    1. 76. 健康
    2. 77. 食生活と栄養
    3. 78. 目と視力
    4. 79. 歯の健康
    5. 80. 聴力
    6. 81. フットケア
    7. 82. ビタミン
    8. 83. 錠剤
    9. 84. カンジダ感染症
    10. 85. レントゲン

Part 5 全身の健康管理

頭から爪先まで見落とさずに

76. 健康

年を取ると、感染症や薬の副作用など、健康上の問題を生じやすくなります。栄養バランスの取れた食事、運動、定期的な健診を心がけてください。できれば、高齢者の診察経験が豊かな医師を見つけましょう。病院のスタッフと良好な関係を築くのもお勧めです。何かあったとき電話で一般的なアドバイスをもらえますし、たいていはそのおかげで、医師の診断を仰ぐまでもない問題をうまく解決できます。


定期健診 見た目では、おかあさんはどこも悪くなさそうですが、もはや自分で不調を訴えることができないので、健康にはとくに気を配る必要があります。健康的な食事を心がけ、定期的に健康診断を受けさせてください。そのさい、以下の点に留意しましょう。おかあさんが摂取している食べ物と飲み物のリストを作り、薬やサプリメントをすべて持参すること。懸念事項があれば、メモ書きしておくこと(病院の緊張した雰囲気では、細かいことを思いつけないので)。これらすべてを、受付時に看護師に渡し、あらかじめ医師に目を通してもらうこと。

新しい医師の診断を受けるときは、コミュニケーションに関して打ちあわせておきましょう。ことばが不自由でも、おかあさんを会話や議論に参加させたいのだと、しっかり伝えておくのです。記憶障害の患者をよく診ている医師ならば、重要な情報は介護者から得るいっぽうで、患者自身の意見にちゃんと耳を傾けてくれます。医師がおかあさんをないがしろにする、あるいは子ども扱いする場合は、おかあさんはたとえ反応を示さなくとも何を言われているのかまだ理解できること、赤ちゃんことばで話しかけられるのは好きではないことをわからせましょう。

病院に着いたら、ここへ来た理由を、穏やかな声でおかあさんに説明します。「おかあさん、ここへは健診のために来たのよ。半年に一回、健診を受けることになってるの。どこも悪くないとは思うけど、それをきちんと確かめないとね。まずは、看護師さんに基礎検査をしてもらいましょう。血圧とか、体温とか」

必要ならば、次のように言いましょう。「さあ、これから体重を計るわよ。ふたりで手を貸すから、体重計に乗ってね。いい? だいじょうぶ、落ちないよう支えてるから」こうして検査を受けていても、しばらくたったらおかあさんはきっと、ここはどこで、何をしているのかと訊ねるはずです。そのときは、またはじめから説明しましょう。「ここへは健診に来たのよ。たぶんどこも悪くないと思うけど、これからこの部屋で待って、診察してもらわないとね。お医者さんに何か話したいことはある?」

こうやって意見を訊ねれば、おかあさんはある程度自分で状況をコントロールできると感じ、恐怖をぬぐえます。いつもどおり、たとえ反応はなくても、会話のほとんどを理解できるという前提で話してください。

診察時には、歯科、眼科、足の専門医など、ほかの医療機関の受診歴をすべて話しましょう。場合によっては、精神科か神経科の健診を定期的に受けたほうがいいかもしれません。健康状態、警戒心、時間や場所などの認識力に突然の変化があったときは、それを忘れずに話してください。専門医にかかっていて、その薬や治療法が変わったのなら、それも話しましょう。

不明な点があれば、ちゃんと質問すること。医師が聞き慣れない用語を使ったら、説明を求めましょう。いいお医者さんなら、どんな質問も軽んじたりばかにしたりしません。


よくある健康上の問題 次のような問題が起きやすいことを認識し、医師から、どんな症状が出るのか、その場合はいかに対処すべきか、といったことを聞いておきましょう。なかには害のないものもあり、いたずらに救急外来に駆けこむと、不要なトラウマをもたらしかねません。


〈一過性脳虚血発作(TIA)〉 アルツハイマー患者は一時的に、左右どちらかの半身まひや失語症を引き起こすことがあります。場合によっては、意識を失うかもしれません。このときは、ただちに医師に連絡して、状況を説明しましょう。医師がTIAと判断し、患者がまだアスピリンを飲んでいないなら、一日一錠、幼児向けアスピリンを飲むことを検討します。

症状はしばらく続きますが、動じないで、患者が快適に過ごせるよう心がけてください。数時間もすれば、平静を取りもどすはずです。TIAの場合、目につく後遺症が出ることはめったにありません。後遺症が出たときは、やや深刻な発作が起きる徴候ですが、それでも数日から数週間かけてゆっくり快方に向かうはずです。


〈迷走神経反射〉 迷走神経とは、心臓の鼓動や胃酸の分泌といった自律的な機能をつかさどる神経です。迷走神経反射は、ストレス、過度の興奮、消化機能の急激な活発化によって引き起こされます。食事の量が多かったときや、こってりした料理のあとによく生じます。食べたものを吐いて、意識を失うことすらあるので、かなり慌てますが、ふつうは命に危険はありません。

平らな床に、できれば呼吸が楽な姿勢で患者を寝かせて、落ち着きを取りもどさせます。その後数時間は、眠気を伴うかもしれません。意識を失った場合は、必ず医師に連絡しましょう。必ずしも迷走神経反射が原因とは言い切れませんし、治療が必要な場合や、心臓不整脈などの深刻な原因も考えられます。


〈骨粗鬆症〉 年を取ると、骨が脆くなります。アルツハイマー患者はとくにその傾向が強く、しばしば骨折を生じます。たいていは腰か手首ですが、肋骨や椎つい骨こつも骨折しやすい箇所です。激しいくしゃみをしたり、強くつかまれたりしただけで、骨が折れることもあります。

アルツハイマー患者は徘徊しがちなので、転倒の危険性が著しく高まります。歩行など簡単な運動技能に障害が出たのちは、とくに要注意。転倒を防ぐために、小さな敷物や低いスツール、足載せ台は取り除きましょう。また、浴槽やトイレに手すりを設けてください。ベッドの脇に室内用便器を置けば、つきそいなしでトイレに行って転倒する危険性を減らせます。


〈老人性紫斑病〉 肌が紫色に変色する症状で、ふつうは手足、とくに前腕と向こうずねに起こります。ただ強く握っただけで起きることもあります。皮下の毛細血管からの出血が原因で、自然に消えることもあれば、消えないこともあります。この種の出血は珍しくないのですが、若い人の場合は皮下脂肪のおかげで目立ちません。ひどい傷に見えるせいで、虐待と勘ちがいされることもよくあります。


〈裂傷〉 年を取ると、皮下脂肪が減って、皮膚がきわめて脆くなります。おりにふれて、油分の多いローションを体に塗りましょう。脆すぎる箇所では裂傷を生じることがあります。見た目はひどいですが、たいていは縫合しなくても治ります。けれども、丁寧に包帯を当てる必要はあります。専用の包帯もあるので、医師に相談しましょう。


〈尿路感染症(UTI)〉 高齢者にはよくある症状です。男性の場合、年をとると前立腺が肥大しがちで、そのせいで感染症を生じやすくなります。男女ともに、排尿時に焼けつくような痛みを覚え、頻繁に尿意をもよおします。通常より尿が黒ずむこともあって、たいていは匂いがきつくなります。こうした症状が見られるときは、医師の診断を受けましょう。おそらく、抗生物質を処方されるはずです。クランベリージュースを勧められることもあります。脱水症状は尿路感染症の引き金になりますので、注意しましょう。

これはどんな感染症にも言えることですが、軽い症状を見過ごしていると、混乱などのアルツハイマーの症状が一気に悪化する恐れがあります。治療を施せば、たいていはアルツハイマーの症状も回復します。だからこそ、患者の精神状態が急変した場合は医師に診せることが大切なのです。

77. 食生活と栄養

高齢者の多くは、食べる量が少なく、しばしばビタミン欠乏症を生じます。とくにアルツハイマーなどの認知症患者では、栄養失調、脱水症、ビタミン欠乏症がよく見られます。これらの症状には回復の見こめるものもありますし、たとえ手遅れだとしても、悪化を食い止める手だてを尽くすべきでしょう。認知症のもともとの原因がなんであれ、食生活を変えることで、大きな改善が期待できます。飽和脂肪や砂糖が多く含まれた食品は除外してください。認知症を悪化させます。医師に相談して、ミネラルを含みビタミンEとCをとくに強化した総合ビタミン剤を与えましょう。

避けたほうがいいのは、加工食品、精白小麦粉を使った食品、砂糖、着色料、トランス脂肪酸を含む硬化油食品(マーガリン)です。患者だけでなくだれにとっても健康的な食事とは、旬の新鮮な野菜と果物、全粒粉のシリアルやパンを中心にした食事です。脂の少ない赤身の肉や脂肪の多い魚(いわし、にしん、めかじき、鮭)、(耐性がある人には)乳製品、オリーブ油またはキャノーラ油も、認知症の患者によいとされています。

葉物野菜、赤玉ねぎ、新鮮な柑橘類、コーヒーなどの食品は、ビオフラボノイドが豊富で、ビタミンCと一緒に摂れば抗酸化作用が期待できます。また、最近、ビオフラボノイドにはコレステロールを低下させる働きのあることが発見されました。

人参、かぼちゃ、さつまいも、メロンも、体にいい食品です。ピンクグレープフルーツやトマトも同様。オレンジ色または赤色をした果物や野菜は、ベータカロチンが豊富です。ベータカロチンは、細胞の成長に欠かせないビタミンAに変わる物質で、緑色の濃い葉物野菜にも含まれています。

キャノーラ油、亜麻仁油、脂肪の多い魚も体にいい食品です。オメガ3系脂肪酸として知られる多価不飽和脂肪は、心臓病を防止する働きや、抗がん作用があります。

大豆、豆腐、豆乳、レンズ豆、ひよこ豆、インゲンには、イソフラボンが豊富に含まれています。これはエストロゲンの分泌量が低下したとき似た働きをして、乳がんから守ってもくれます。

水は、とても重要です。一般的に高齢者は、水を摂取することに抵抗を持っています。おかあさんの世代にとって、水は薬を飲むためか、歯磨きのあとのすすぎに使うためのものです。ミネラルウォーターがもてはやされる現在の風潮に、おそらく戸惑っているはずです。その点に留意しましょう。もし、ただの水など飲みたくない、とおかあさんが言うなら、さわやかで健康的な〝果汁飲料〟を作るのもひとつの方法です。冷凍濃縮ジュースを規定の二倍の水で薄め、味を整えるために人工甘味料を加えてください。目安として、一日にグラス八杯の水を飲ませるようにしましょう。

アルコールは明確な思考を妨げますが、アルツハイマー患者の場合、それがとくに顕著になります。アルツハイマー患者には、一日一杯が限界許容量です。アルコールを過剰摂取すると、アルツハイマー病が進行する恐れもあります。

スムージーは、体にとてもいい飲み物です。おかあさんの食が細いときは、健康的な食材をふんだんに使って、おいしいスムージーを作りましょう。ベースには、ヨーグルトか、フルーツジュース、豆乳、お粥、乳清などを使います。そしてレシチン、亜麻仁油などのオメガ3系脂肪酸、ビーポーレン(蜂花粉)、大豆プロテイン、粉ゼラチン、栄養イーストなどを、数種類加えます。それをバナナなどの果物とともに、ミキサーにかけてください。必要なら、はちみつで甘みを加えたり、バニラで香りをつけたりしてもいいでしょう。健康食品を売る店には、たいてい栄養の専門家がいるので、アドバイスやレシピをもらいましょう。

78. 目と視力

おかあさんはかなりの読書家でした。いまでも本を手にするのが好きで、見るからに嬉しそうに、最初のページを何度も繰り返し眺めています。好きな段落を、たびたび声に出して読みあげます。いつもまったく同じ語調で。たとえ最初のページから先へ進めないとしても、まだ文字を読むだけの視力があることは、おかあさんにとって大切なことです。

定期的に、最低でも年に一度は、眼科医の診察を受けさせてください。徹底的な検査を受けて、高齢者によく見られる障害がないか調べてもらいましょう。眼科医のチェックする項目は、以下のとおりです。


緑内障 眼圧(眼球の圧力)が高くなる病気。ふつうは症状がなく、多くの場合、定期健診で見つかります。治療せずにいると、視神経を痛めて、視野がしだいに狭くなります。痛みはありません。こうした視野欠損は、ふつうは点眼薬で防げます。症状が進むと、レーザー治療などの手術が必要になることもあります。


加齢黄斑変性 黄斑(眼球内壁を覆う膜、網膜の中心部分)が変性する病気。黄斑が劣化しはじめると、中心視野がぼやけてきて、文字を読んだり、小さな差違を識別したりする能力に支障をきたします。症状が進むと、中央に大きな盲点ができ、周辺視だけで物を見ることになります。その場合は、顔を見分ける、テレビを観る、本を読むなどの行為ができません。

症状によっては、ビタミン治療で進行を遅らせることができます。血液などが漏れる滲出型では、レーザー治療や光線力学療法が採られることもあります。


白内障 目の水晶体が濁る病気。年を取ればだれにでも起きる症状ですが、すべてに治療が必要なわけではありません。白内障のせいで視界がぼやけてきたら、濁った水晶体を取り除いて人口水晶体に取り替える「水晶体移植」という手術で治療します。超音波で古い水晶体を破壊し、外へ吸い出すのです。術後何年かたって、また濁りを生じたとき(後発白内障)には、レーザー治療が用いられます。手術は通常、ほとんど時間がかからず、高齢者にもじゅうぶん耐えられます。一般に、局部麻酔をして一〇分程度の手術です。


糖尿病性網膜症 糖尿病になると、眼底の毛細血管から血液が漏出し、治療せずにいると視界がぼやけてきます。糖尿病が進行した場合、脆い血管が破れて眼球内に出血し、その結果、視力が著しく失われます。治療には、レーザーで漏出を抑える、高度な外科技術を用いて眼底から血液を取り除く、といった方法があります。

79. 歯の健康

歯の痛みや歯ぐきの疾患など歯にかかわる問題は、アルツハイマー病の症状を悪化させる場合があります。三、四カ月ごとに、おじさんに歯の洗浄と検査を受けさせるといいでしょう。そうすれば、虫歯もひどくならないうちに見つかります。歯の痛みはおじさんにとって深刻な問題です。うまく物を食べられないし、歯ぐきの感染症にもつながります。また、痛みがあるのにうまく伝えられないでいるとしたら、つらいことです。

おじさんは歯を磨きたがりません。理由はおそらく、歯ブラシの使いかたを忘れたから、あるいはひとりできちんと磨けないからです。あなたも一緒に歯を磨いて、共通の体験にしましょう。以前、おじさんから正しい磨きかたを教わったときのことを話して、さりげなく実演してみせるのです。「ぼくが小さかったとき、こんなふうに教えてくれたよね。いまでも、ちゃんと守ってるんだよ、ほらね?」

歯磨き粉を飲みこむ恐れがあるなら、ほんの少しの量、かすかに香りがつく程度だけ、濡れた歯ブラシに載せましょう。歯磨き粉をまったくつけなくてもだいじょうぶです。大切なのは、ブラッシングすることですから。歯ブラシは柔らかめで、できれば、奥歯の裏にも届く子ども用のものを選んでください。また、濃度五〇パーセントの過酸化水素水にひと晩浸して殺菌しておくといいでしょう。

おじさんがどうしても自分では磨けなくなったら、代わりに磨いてあげなくてはいけません。あなたが無理なくうしろに立てるよう、低い椅子に座らせて、片手をおじさんのあごの下に当て、もう片方の手で歯を磨きます。歯ぐきもしっかりマッサージして、できればフロスもしましょう。

この新しい日課にふたりが慣れるまで、何度か試行錯誤する必要があります。どういう理由で何をやっているのかを説明し、おじさんを安心させてください。明るく楽しそうな口調を心がけて、不慣れなうちはあなたの不器用さをジョークにするのもひとつの方法です。

自信がなければ、かかりつけの歯科医に頼んで実演してもらいましょう。歯科医を巻きこむことで、口先だけでなく本心から、医師の指示で歯磨きを行なっているのだと告げられます。とはいえ、おじさんはすぐに忘れてしまうでしょうが。


〔入れ歯〕 入れ歯をはめている場合、定期的に歯ぐきをチェックする必要があります。赤く腫れた箇所があったら、潜りこんだ食べ物のかけらの刺激で歯ぐきが過敏になっている証拠です。あるいは、入れ歯が合わず、歯ぐきを圧迫しているのかもしれません。腫れを見つけたら、歯科医に相談しましょう。

80. 聴力

おかあさんは最近、聴力が衰えてきたようです。そろそろ補聴器が必要ではないかと、あなたは考えています。そこで耳鼻科に連れていって検査してもらったところ、耳あかがひどく溜まっているだけだとわかりました。耳掃除をすれば、問題は解決します。あなたは以降、数カ月に一度、定期的に耳の健診に連れていくことに決めました。

万一、ほんとうに難聴が生じていることがわかったら、あなたはつらい決断を迫られます。補聴器を使うには、まずその使用法を覚えなくてはいけませんが、アルツハイマー患者にはほぼ不可能なことです。前から補聴器を使っていた場合でさえ、うまく調整ができないのです。

それでも、難聴への対処法はいくつかあります。テレビを観るには、コードレスのヘッドホンセットを買えばいいですし、日常生活では、ただ耳にはめるだけの拡声器でこと足ります。ただし、拡声器を使用するとおかあさん自身の話し声も増幅されるため、おそらく本人は驚くでしょう。

81. フットケア

若いころ、おばさんは月に二回のペディキュアを怠りませんでした。あなたはなるべくその習慣を続けるよう努め、おばさんも喜んでくれていました。ところが、最近、歩くときに奇妙な音を立てるようになりました。認知症のせいで、おばさんは何がおかしいのか口で伝えることができません。歩くたびに足の爪が靴の先に当たって不快なのかもしれないし、靴が足に合わなくなったのかもしれません。あるいは、見えないほど小さなまめか魚の目かたこができているのか。

ともあれ、どこか赤くなっていないか調べ、皮膚をさわってみましょう。目には見えないたこでも、さわると熱をもっていることがあるのです。これらは治療せずにいると、潰瘍化したり、化膿したりします。

三カ月に一度、定期的に足の専門医に診せ、爪を切って検査をしてもらいましょう。ペディキュアに比べると楽しくはありませんが、足の専門医は悪いところを見つけて、どんな履き物が望ましいかといった日常のケアについても助言してくれます。ペディキュアをやめた埋め合わせに、香りつきローションを使ったマッサージや足湯を施すといいでしょう。

水虫もよくある症状ですが、これは靴下や靴に湿気があるとはびこります。〝通気性繊維〟のウォーキングシューズにすれば、この問題を最小限に抑えられます。

糖尿病の場合は、とくに注意が必要です。自宅での追加ケアについて、足の専門医にアドバイスを受けましょう。

82. ビタミン

健康的な食事を取っていても、大切な栄養素が欠乏することがあります。念のため、おとなはだれでも、マルチビタミンとミネラルのサプリメントを毎日飲んだほうがいいでしょう。また、年齢とともに栄養の吸収力が失われるので、高齢者は、専用に処方されたマルチビタミン剤でとくに体を保護する必要があります。

ビタミン剤の多くは大きすぎて、おとうさんにはうまく飲みこめないかもしれません。その場合は、ビタミン液を買うか、錠剤を砕いてゼリーを少し混ぜあわせましょう。


抗酸化物質 フリーラジカルと戦うのに役立ちます。フリーラジカルとは不安定な酸素分子のことで、健康な細胞膜と細胞組織に害を与え、がん、心臓病、アルツハイマー病など、さまざまな体調不全に関係しています。抗酸化物質とは、ビタミンC、ビタミンE、ベータカロチンのことで、自然界では新鮮な果物や野菜、さらには緑茶や紅茶にも含まれています。


葉酸 いくつかの研究において、葉酸の不足がアルツハイマー患者の脳障害を悪化させることが示されています。研究者の推定によれば、連邦政府の推奨する一日あたりの最少必要量四〇〇ミリグラムを摂れていないアメリカ人は、全人口の八○パーセントにも達します。葉酸が多く含まれる食品は、豆類、緑葉野菜(とくにほうれん草)、柑橘類、全粒粉で作られた製品です。


ビタミンE この必須ビタミンは、アルツハイマー患者にはとくに効果的であることがわかっています。ある研究では、ビタミンEをアリセプト(ドネペジル)とあわせて摂ったところ、認識力が著しく改善されました。ほかのアルツハイマー治療薬の効果を高める可能性もあります。一日の最低必要量は八〇〇IU。液状のビタミンEも入手可能です。


コリン ビタミンB複合体であるコリンの不足が、アルツハイマー病を引き起こすことがわかっています。このビタミンは、筋肉と神経の健康に欠かせません。自然界ではレバー、カリフラワー、大豆、ほうれん草、レタス、ナッツ、卵から摂取できます。ホットシリアル、スムージー、プディングに加えられるレシチンにも、コリンが含まれています。


オメガ3系脂肪酸 心臓と細胞全般の健康に不可欠な必須脂肪酸です。たいていの

高齢者は、ふだんの食事から健康的な脂肪をじゅうぶん摂れていません。魚油または亜麻仁油から作られたサプリメントを飲めば、オメガ3系脂肪酸を摂取できます。また、挽きたての亜麻の種やナッツを料理に加えてもいいでしょう。

83. 錠剤

おかあさんは 栄養補助食品をいくつか服用しなくてはなりません。あなたはひとつめの錠剤と、水またはジュースのコップを手渡し、このサプリメントがどういうもので、どんな効き目があるのかを説明します。「これはみんなビタミン剤だよ。飲みはじめてから、かあさんはずいぶん健康になったね。さあ、ひとつめだ。簡単に飲めるからね。ジュースを口に入れて、一緒に飲みこんでごらん」必要なら、錠剤をひとつ渡すごとに、同じ説明を一から繰り返します。どのみち次の日には、同じ過程をまたはじめから経るはめになるのです。

錠剤をうまく飲みこめない場合は、砕いて、べつの食べ物と混ぜあわせます。チョコレートフロスト、アップルソース、ジャム、マヨネーズタイプのドレッシングなど、味の濃いものが望ましいでしょう。錠剤のいやな味を何かでごまかしたい場合、まずはひとつずつ味見してください。ビタミンB複合体など、どうしても味をごまかせないものもありますが、舌下錠タイプのビタミンBにはフルーツ風味のものもあります。

ふだんとちがう混合物をスプーンで差し出すときは、きちんと説明してください。「錠剤とゼリーを混ぜてみたよ。まだ少し変な味がするけど、それほどまずくないはずだ」錠剤を砕いても問題が解決しなければ、薬剤師に頼んで液状の薬を出してもらいましょう。鎮痛剤、感冒薬、総合ビタミン剤の多くは、液体の形でも入手できます。

84. カンジダ感染症

カンジダ症は年配の女性によく見られる病気で、治療せずに放置しておくと、もっと重い感染症につながる恐れがあります。おかあさんがひときわ苛立って股間をこすったり掻いたりするときは、下着、ブリーフ、パッドに酵母の痕跡がないか調べましょう。

白色か薄緑色の分泌物が見つかったら、主治医の診断を受けてください。

85. レントゲン

レントゲン撮影はとても緊張するものです。放射線室は暗くひんやりしています。機器の表面は冷たくて硬いうえに、患者は横になっても立っても、まったく動かないよう指示されます。これはアルツハイマー患者にとってはとくにむずかしい注文です。また、けがの程度を確かめるためにレントゲン撮影をする場合は、不快感や痛みも加わります。

おばさんは、確認のためにレントゲン検査が必要という診断をくだされました。技師に認知症であることを話し、防護用の鉛エプロンを借りましょう。そうすれば、撮影のあいだもつきそえます。おばさんを安心させて、気持ちを落ち着かせるには、これがいちばんの方法です。けがの場合は、痛みがありますし、たぶん見慣れない空間に怯えているはずです。おばさんの手を取ってなだめるような声で、ここにきた理由と、これからやることを説明しましょう。長くはかからないこと、ずっとそばにいることも告げて、さらに安心させます。そして、指示をひとつひとつ説明してください。

深呼吸して息を止めるよう指示されたら、その指示を繰り返し、自分も一緒に従います。「いまから、しっかり深呼吸をするのよ。準備はいい? せえの」(おばさんと一緒に)深く息を吸い、「さあ、息を止めて」(自分も息を止める)。うまくいけば、写真撮影のたびに一回ずつこれを繰り返すだけですみます。終了後は、撮影中の態度にかかわらず、おばさんの協力に感謝し、何か楽しいことで気をそらしましょう。


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読み PART5ぜんしんのけんこうかんり
作成者 openknow84
作成日時 2008年10月14日 13:41:20
最終更新者 openknow84
最終更新日時 2008年10月14日 13:41:20
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