【説明】
水銀(Hg)というと、危険、有毒、といったイメージが強い。水銀の毒性は高い。環境汚染の一つである水俣病の原因物質はメチル水銀である。メチル水銀は体内の硫黄元素と結びつき、形がアミノ酸と似た物質を作って体中に散らばってしまう。そしてタンパク質の合成を阻害するなどして各種障害を引き起こす。
水銀は毒性は高いのであるが、かつては医療現場でかなりの量が使用されていた。
有機水銀の形では利尿剤として使用され、
無機水銀は殺菌作用を利用されていた。年輩の方になじみのあった家庭用医薬品として赤チンと呼ばれるものがあったと思うが、これはマーキュロ
クロムという殺菌物質であったが、水銀の毒性の恐怖が広がるにつれて使用されなくなった。
水銀
単体の性質は、融点、
沸点がもっとも低い。水銀はそのため
蒸気圧が高く、毒性が高いので、空気中に解放された状態で置いておくのは危険である。結晶は正方晶系であり、密度は13. 6g/cm3であり圧力の単位mmHgの基準となっている。また、一般の酸には溶けないが酸化力のある酸や王水に溶ける。電気抵抗が金属の中では異常に高く、95. 8μΩ/cmとなっており、もっとも電気伝導度の高い銀と比べて13倍ほどの値である。また、液体時の
表面張力が475mN/mと極めて高い。この数値は水の72mN/mや、ヘキサンなどの有機溶媒が15~30mN/m程度であるのと比べて、異常に高く、床にこぼしたりすると、均一にならずに球形になって散らばる。
主な産出源は辰砂(HgS)でロシア、スペイン、アルジェリアなどで産出される。
用途としては、古くからアマルガム(片方の成分が水銀)と呼ばれる
合金を作って任意の金属を取り出すのに使われていた。その他、ガラスの壁面にくっつかない性質を使って、水銀温度計に用いられたり、あるいは農薬などにも使用され、その利用範囲は幅広い。